【怪我で長期休職】トラック運転手は収入ゼロ?

トラック運転手

トラック運転手は仕事の性質上、怪我で入院など長期間休む事もあるかと思います。そうでなくても年齢を重ねれば病気などを理由に長期間休む事もありそうです。なにかとブラックな働き方の多い運送業界ですがこういった場合に給料はどうなるのでしょうか?1日も出勤していなくても基本給だけもらえる?それとも無収入?社会保険料負担で給料マイナス?

怪我や病気の具体例、会社の規模と実例、考察をまじえて紹介していきます。

股関節損傷(こかんせつ そんしょう)

資本金300万円 営業所1拠点 年商不明 零細の有限会社

40代女性ドライバーAさんのお話しです。10tウイングでの荷役作業中の事故です。パレット積みの仕事でAさんが荷台にいたところ、立て掛けてあったコンパネ(ベニヤ板の事です)が倒れてきました。コンパネも10枚重なれば相当な重さです。倒れてきたコンパネに押された勢いでAさんはウイングの中柱(古いトラックです)に激突。股関節を手術する怪我を負いました。その日から仕事は出来ず、入院、手術、自宅療養、通院を経て約3ヶ月休職しました。

会社の対応

Aさんは労働基準法や法律全般に無知な人です。基本的にサービス残業あたり前、有給はないと思って日々働いていました。会社から労災などの説明は一切ありませんでした。さすがに医療費は全額会社が負担しました。とゆうか仕事で怪我をしたと医師に説明すると健康保険証は使えなくなってしまうので当然ですが。そしてその後の保障は、休職中は給料は支払われず、労災の適用もなし。見舞い金として社長から20万円が支給されました。

考察

明らかな労働災害であるにもかかわらず、労災の適用もなく極めて悪質な例といえます。労災保険を使わなかった理由として未加入の可能性もあります。会社が未加入だった場合でも労災保険の給付は受けられますが、その場合未加入期間の保険料をさかのぼって支払う義務が会社に課せられます。そういった理由から全ての医療費に加えて見舞い金として20万円を労働者に支払い、茶を濁した可能性が高いです。いわば「安く抑えて誤魔化した」とゆう事になります。地方都市の零細企業にありがちな例かなと思います。後述する傷病手当金の対象外になるので、会社側に不誠実な対応をされると労働者は不利益を被ります。

十二指腸潰瘍

資本金6000万円 営業所4拠点 年商80億円

十二指腸潰瘍に伴う出血で、貧血状態になり出勤できなくなった40代男性ドライバーBさんのお話しです。貧血状態で顔色が悪く、歩くだけで息が切れてしまうため荷役作業が難しく10日間休職しました。内訳は出勤日が8で元々の休日が2です。

 

会社の対応

本人は自己都合で休んだので欠勤のつもりでしたが、復帰後に上司から「欠勤分は有給を使える」と、言われたそうです。つまり有給を8日消化して欠勤していない扱いになりました。その会社では通常、1日でも欠勤してしまうと「皆勤手当」が支給されないのですが有給を使ったので当然、皆勤手当が引かれる事もありませんでした。結果的に月収はわずかに減少した程度でした。その月は、16日しか出勤していないですが、総支給30万円と収入の減額は避けられました。

考察

有給を取得した事により、収入の減額は避けられたBさん。しかし、有給の本来の使用目的とは異なるので違和感を覚えます。とはいえ、フツーに働いていれば周囲や上司に配慮して有給を年に10日以上消化する事が難しい雰囲気なので、休んだ期間の収入が下がらなかっただけマシかなとも思ったりします。

ギックリ腰

資本金6000万円 営業所4拠点 年商80億円

トラック運転手にはよくあるギックリ腰になった30代男性Cさんの例です。仕事中に発症し、なんとか営業所に帰ってきたものの翌日からは出勤できず、9日間休業しました。内訳は出勤日が7で元々の休日が2です。

会社の対応

Bさんの例と同じく上司からの指示で有給消化です。こちらも欠勤にはならないので、皆勤手当も満額支給され、基本給の減額もありません。Cさんも同じく、大きく月収が下がる事はありませんでした。当時の噂によると、自己主張のないタイプの人に対してはこの有給消化すらなく、欠勤の取り扱いだったと聞いています。

考察

ギックリ腰(病名「急性腰痛症」)は、日常的な動作の中で生じるので例え仕事中に発症したとしても、労災の補償の対象とは認められません。Bさんと同じく有給の本来の使用目的と異なりますが、会社が事後処理で有給を使わせてくれたのは誠実な対応といえます。

フォークリフト同士の接触事故

資本金2000万円 営業所1拠点 年商不明

これまでの3人は正社員の雇用でしたが、今回は派遣スタッフの例です。20代男性Dさんは、運送会社で派遣スタッフとして働いていました。倉庫内でフォークリフト(リーチ)で荷役作業をしていたところ、別のフォークリフトと衝突。状況は2台が互いにバックして後方確認不十分で接触。Dさんは足の甲を粉砕骨折。3ヶ月の休職となりました。

会社の対応

労災保険適用で給与の8割が3ヶ月間支給されました。余談ですが、Dさんは労災に加えて、個人で加入していた生命保険からの給付もあり、休職期間中はトータルで、給与を上回る収入がありました。

考察

労災保険を適用する会社の対応としては、本来あるべき形だと思います。一般的に小さなケガでは労災は使わない傾向にありますが、コストが増える大きなケガでは労災を使う傾向にあります。労災事故の発生率などによって保険料に差をつける仕組みが適用されているため、保険料が上がってしまうのを嫌って労働基準監督署に報告しない(労災を使わない)悪質なケースが多いです。

労働者災害補償保険

いわゆる労災です。原則として、会社が負担する保険料によって賄われていますので給与明細を見て「未加入なのか・・・?」と心配する必要はありません。アルバイトや派遣といった雇用形態も関係ありませんので、ご安心を。労災には8つの給付があります。4つ抜粋して解説します。

療養補償給付

  • 障害補償給付
  • 休業補償給付
  • 遺族補償給付

 

労災は仕事中や休憩中、通勤途中で起きた怪我などに対して保険給付を行う制度です。傷病手当金よりも手厚い補償になっています。また、仕事中のケガに対しては健康保険は使えませんが、労災の「療養補償給付」があるので自己負担はありません。

休業補償給付

業務中のケガや病気が理由で仕事に行けない場合は、休業補償が給付され給与の8割が支払われます。支給される条件をまとめます。

  • 仕事中や通勤中の怪我
  • 療養している事
  • 働けない状態
  • 働けない状態が4日以上
  • 会社から給与が支給されていない

休業補償給付の支給額

休業4日目以降から1日につき給与の80%(特別支給金含む)が支給されます。

ケガの前に給与が月30万円(総支給)だった人を例にします。

平均賃金:30万円 ✕ 3ヶ月 ✕ 91日 = 9890円

※91日の内訳(4月:30日 5月:31日 6月:30日)

この9890円が平均賃金です。この額の80%が支給額になります。

給付基礎日額:9890 ✕ 0.8 = 7912円

この7912円が1日あたりの休業補償給付の支給額です。

なので、月30万の給与だった人は30日間休んだ場合に23万7360円支給されます。失業給付、傷病手当金の6割補償に比べても、労災の休業補償給付は手厚い補償だと思います。

傷病手当金

傷病手当(しょうびょう てあて)については業務中のケガとは無関係ですが、紹介しておきます。ですが、病気や怪我で会社を休んだ時は傷病手当金が支給されます。加入する健康保険組合(保険証の発行元)から支給されます。

支給される対象

  • 仕事中や通勤中以外である事
  • 仕事に就くことが出来ない状態
  • 4日以上仕事に就く事が出来ない状態
  • 休んでいる期間に給与の支払いがない事
  • 休日にサッカーをしていてケガをした等
  • 休日に子供と遊んでいてケガをした等

「トラック運転手の怪我」の、話をしているのに申し訳ないですが業務上・通勤災害によるものは支給の対象外です。これは、「仕事でケガをした」と医師に言ったら病院で保険証が使えなくなるのと同様に、仕事中や通勤での怪我は本来、労災で補償するものだからです。

支給されない例

  • 通勤中にケガをした
  • 仕事中にケガをした
  • 怪我の程度が軽く、仕事に就ける状態
  • 怪我をしたが3日しか休んでいない
  • 長期休職したが、給与の支払いがあった

支給額

目安として、細かい計算を省きますと

総支給30万だった人は、毎月20万円が銀行振込で支給されます。

大まかに説明すると、直近12ヶ月分給与の3分の2が支給されると考えてください。ケガをする前の給与が、毎月総支給30万円だった場合は支給日額6600円となり、一ヶ月分(31日)でだいたい20万円程度支給されます(細かく計算すると変動します)ケガをする前に、週6勤務で月に25日勤務であったとしても土日祝を含むカレンダーの日数分支払われます。つまり勤務日数分ではなく、例えば1月であれば31日分支給、2月であれば28日分支給といった感じです。生活を保障するという観点から月に一度、銀行振り込みで支給されます。なお、傷病手当金の支給期間は最長1年6ヶ月です。

まとめ

勤め先が悪質な場合に年次有給休暇、労災、傷病手当金など、社会保障の知識がない労働者は、満足な補償も受けられず不利益を被り、泣き寝入りとなってしまいます。ゆうまでもなく今回、紹介した4人の例で一番不利益を被ったのはAさんです。Aさんの体験からの憤りが、この記事を書くきっかけになりました。しかし、なにもAさんが特殊なケースではなく、法律や社会保障の制度は学校では教えてくれませんし何も知らない状態で働いている労働者が大半です。

人生のほとんどの日数、時間を会社に尽くして働いたにもかかわらず、会社から不誠実な対応で不利益を被る労働者がいる現実です。台風や大雪でも時間に遅れる事なく出勤し、休日に会社の行事に参加をして会社に尽した見返りとしてはあまりにも不当な対応ではないでしょうか。

怪我をして働けなくなっただけで生活が困窮する・・・。なんの為に税金、雇用保険、健康保険を負担しているのでしょうか。毎月少しずつですが累計すると膨大な費用に積み重なっています。

この記事がガムシャラに会社に誠意を尽くし、日夜働くすべての物流従事者の参考になれば幸いです。

 

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