トラック系YouTuberで登録者数20万人の綾人サロンさんが就職をおすすめする大手。ご本人自らも所属する大手運送会社。しかし大手と言われても、どのぐらいの規模なのかわからないし、大企業や中小零細企業のような別の呼び方もあります。知っているようで知らないこの「大手」とゆう言葉の定義を解説します。
就職資料のリストを作ってみました。ご活用ください。
綾人サロン【優良大手リスト】を買う金がないので作ってみた【関東版】
企業規模の定義(運輸業)
大手の解説の前に、まずは大企業などの分類です。実は大企業と零細企業に法律上の定義はありません。一方、中小企業には「中小企業基本法」により明確な定義が決まっています。中小企業をベースに、それ以上を大企業、それ以下を零細企業として定義して分類します。業種によって資本金などの定義が異なりますが、トラック運転手の属する運輸業は以下の通りです。
大企業
資本金3億円以上 従業員300人以上
中小企業
資本金3億円以下 従業員300人以下
零細企業
資本金の定義なし 従業員20人以下
別の分類方法
ここからが本題の「大手」が出てきます。最初に紹介した「大企業」「中小企業」の、中からさらに別の呼び方で分けます。
大手
誰でも知っているような有名企業のうち、各業種のトップを占める数社~十数社
準大手
大手と中堅の中間に位置する企業
中堅
大手、準大手と同様に会社法や中小企業基本法などの明確な法律の定めはありません。その業界の市場規模などで定義はまちまちです。下記にまとめました。
- 各省庁:資本金1億円~10億円
- 国語辞典/規模はさして上ではないが、中核を支える存在として活躍する団体。規模や質が中くらいな物
- 中堅企業研究会/年商10億~1000億の企業と定義
- 経営コンサルタント・ノークリサーチ社/年商50億~500億の企業と定義
【大手】の例
誰でも知ってるような有名企業のうち、トップを占める数社が定義になりますので売上高トップ5までをご紹介します。物流に携わっていない一般の方でもトップ20ぐらいまでは認知度があると思います。 ※売上高、従業員数は連結です。
日本通運
資本金701億円/売上高2兆800億円/従業員数7万3000人
業界1位。宅配便ではペリカン便から撤退したので一般に馴染みがないですが鉄道車両、大型機械、大型変圧器など特殊輸送に強みがあります。法人向けの、特に国際航空貨物では日本でダントツの1位です。
ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)
資本金1272億円/売上高1兆6300億円/従業員数22万4000人
業界2位。宅配便では国内1位。いわゆるクロネコヤマトの宅急便です。
SGホールディングス(佐川急便)
資本金118億円/売上高1兆1700億円/従業員数9万6000人
業界3位。宅配便ではヤマトに次ぐ国内2位。
日立物流
資本金168億円/売上高6278億円/従業員数4万5000人
業界4位。3PL(サードパーティーロジスティクス)では国内1位。
セイノーホールディングス(西濃運輸)
資本金424億円/売上高6200億円/従業員数2万9000人
業界5位。ネットショッピングをして西濃運輸が自宅に荷物を届けてくれる事は、ほぼありません。そこからわかるように、企業間取引が主力事業です。
※各物流ランキングで「日本郵政」「日本郵便」が1位になっている場合があります。日本郵政とは郵便事業や銀行、生命保険などの事業会社を全て統括する持株会社なので売上高11兆と超巨大企業です。銀行や生命保険の売上と合算している点で物流のランキングでは比較にならないので除外しました。また、子会社の日本郵便は物流会社ではありますが、ゆうパック以外に手紙・ハガキの郵便物が売上の主力になっている点で、やはり比較の対象に適さないので除外しています。
【準大手】の例
準大手の法律上の定義はありませんが、物流ニュースサイトでの取り扱いをご紹介します。
※ ロジスティクストゥデイ 2021年4月8日配信
2019年に、一般貨物自動車運送事業の許可取り消し処分を受けた関東西部運輸の当時の報道です。関東西部運輸、単体での資本金8000万円です。しかし広島県福山市に本社を置く西部運輸や東海西部、九州西部などのグループ全体では合計3億3300万円となり大企業に属します。大企業とはいえ運輸業の中では大手と呼ぶには一般に知名度が低い。全国に営業所があり中堅と呼ぶのもふさわしくない。といった意味で、当時の報道では準大手との位置づけでした。
【中堅】の例
こちらも法律上、定義のない中堅ですが新聞などの報道での取り扱いをご紹介します。中堅とは曖昧な定義ではあるものの、日本経済新聞社と東洋経済新報社は中堅と判断したとゆう事実です。
ツカサ
資本金1500万円/売上高37億円/従業員数252人
※ 日本経済新聞 2018年2月20日配信
宮田運輸
資本金8000万円/売上高41億円/従業員数307名
※ 東洋経済オンライン 2020年2月24日配信
その他の産業の例
市場規模の大きいゼネコンでは、名の知れた企業で売上高1500億円を超えていても中堅の扱いです。それぞれの業界の市場規模によって扱われ方は変わります。
運送会社の99.6%は中小・零細企業
下の表は、国土交通省発表の資料です。
スマホだと見ずらいので拡大します。
平成28年時点、運送会社の数は約6万2000社あり、1.規模別で見ると車両台数10台以下が56%、20台以下が77%となります。次に、2.従業員数別で見ると10人以下が49%、20人以下が72%となります。零細企業とゆう言葉に明確な定義はありませんが、運輸業で零細企業(小規模企業)の定義は、従業員20人以下となります。まとめると下記の通りです。
1000社ある運送会社のうち、大手は4社だけとゆう事です。中途採用でトラック運転手に転職するとなると、ほとんどの人が中小・零細企業で職に就くとゆう事になります。
まとめ
長くなりましたが、結論をまとめると
となります。各業界によって市場規模が違うので、ゼネコンと運輸業ではおなじ中堅でも規模にかなり違いがあります。売上高では奥村組が2200億円、宮田運輸が41億円と相当に差がありますが同じく業界内では中堅企業の扱いです。
実際に就職をするとなると、大手がすべての面で優れているとは思いませんし、人それぞれ働きやすい環境の条件などは違ってきます。給与意外にも人間関係、休日、拘束時間、また平日の休みの取りやすさなど実際に入ってみないとわからない事だらけなのが会社選びです。具体的な企業名は控えますが、大手とよばれる運送会社が過去にブラック企業大賞にノミネートされた事もありますし、大手の中でもたまたま人間関係の悪い支店や営業所に所属してしまう可能性もあります。大概の人は、なんかしらの不満を抱えて働いてます。会社の大小にとらわれず、自分に合う長く働ける会社にいるほうが少数派だと思います。
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