トラック運転手が事故・破損をしたら弁償するの?【ドライバーの個人負担】

トラック運転手

今回はトラック運転手として働くうえで避けられない「事故」についてのお話です。事故と言っても「交通事故」だけでなく、荷物の破損などの「商品事故」もありますので無事故で定年退職までまっとうする優秀な運転手は非常にレア。と、言うか存在しないのではないでしょうか?

そこで気になるドライバーの自己負担ついて深堀りしていきます。

そもそも支払う義務はドライバーにあるのか?

これについて労働基準監督署に電話で問い合わせをしました。

結論としてはケースバイケースなので一言では片付けられません。何故かと言うとまず、「業務で発生した事故については1円も支払いたくない」と思う派の自分ですが、労働基準監督署の回答としては「損害をまったく支払わなくても良いとする労働基準法がない」との事です。さらに逆にいうと全額支払わなければいけないとする労働基準法も存在しません。では、会社から請求された金額を必ず支払わなければいけないのか?というと、そうでもなく過失の割合だったりでケースバイケースとの事です。想定されるシチュエーションは下記の通りです。

1.社内ルール違反

運転中の私用電話を禁止していた(ハンズフリー問わず)が、運転手がこれに違反していた場合。

2.交通事故が原因で商品が破損した場合の、交通事故の過失割合

交通事故の衝撃が原因で商品が破損したものの、その交通事故の過失割合によってケースバイケースになります。停車している車両に追突してしまったケースと逆に信号待ちしていたら後ろから追突されたケースでは過失割合がまったく違います。

3.誰が破損したかわからない

積み込み時には破損に気が付かずに出発。しかし、納品時に破損が発覚するケースがあります。自分が破損していない場合で流通過程のどこかで誰かが破損を隠蔽しています。しかし確認不足などを理由に最終的に発覚した時点での運転手に請求してくるケースがあります。

 

以上の3つなどが考えられます。そもそも事故の弁償と言っても2008年に首都高で発生したタンクローリーの横転事故のように被害総額が45億円になるような場合では運送会社もドライバー個人でも支払いは不可能な金額ですよね。なので、労働基準監督署の回答としては「最終的に話し合いで解決できなければ民事訴訟で争い、裁判所の判断」との事でした。

明確な答えが出せずにせっかく読んでいただいて申し訳ないですが、ご自身で事故が発生した内容を労働基準監督署に相談するのがまずは第一歩だと思います。監督署は、各都道府県に6~16ヶ所程度ありますので自分が働く運送会社の管轄内の監督書に相談してみましょう。直接、足を運ぶ必要はなく、電話で気軽に相談に応じてくれます。また匿名でも会社名を伏せてもまったく問題なく相談に応じてくれます。

無事故手当はカットされてしまう?

この部分はいわゆる事故の「賠償」ではないので手当が支給されないのはどうにもなりません。ここだけは自分も諦めています。ただし、無事故手当はせいぜい数万円程度ではないでしょうか?どうゆう理屈かわかりませんが、事故を起こした翌月以降もカットされるのであれば会社と争いましょう。しかし、納得できるのは事故を起こした月だけです。翌月以降1年間カットされた例なども多く聞きます。

自己負担についての同意書(誓約書)にサインしている

入社時に、雇用契約書、誓約書などの書類の中に事故の賠償についての同意書がある会社は多いと思います。同意書に署名、捺印をしている事を理由に会社側は支払いを要求してきます。

「面接でも説明したし、あなたも同意書にサインしたでしょ」・・・と。

ですが、これについては労働基準法第16条に定められた「賠償予定の禁止」の法令違反にあたります。入社時に、同意書にサインさせる行為そのものが法律に違反しているのです。もちろん違法な範囲で結んだ契約はすべて無効となりますので、事故の賠償についての同意書は法的な効力のまったくない紙っぺらと考えて大丈夫です。今回の話でこの部分が一番重要になるかと思います。

給料から自動的に天引きされてしまうのでは?

これについても、労働基準法の登場です。簡単に説明すると24条で給料は全額を支払わなければならないと定められています。しかし、労働者の同意があれば可能になります。なので給料日前に必ず天引きを拒否する意思表示をしましょう。

労働基準法

ここまでの話で登場した労働基準法をまとめてみます。

16条 賠償予定の禁止

労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

解説:入社時に賠償を予定する同意書などが違反行為です。

24条 賃金の支払い

賃金は、通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない。

解説:「通貨」とはお金の事です。商品券などではダメとゆう意味です。「直接」支払わなければいけないので荷主に賠償金として支払ったなどは認められません。「全額」ですので天引きできないとゆう意味です。

支払いを拒否して退職【体験談】

実体験として、急ブレーキで荷物を破損させたお話をご紹介します。車間距離を広くとるなどして避けなければいけませんが、危険回避で急ブレーキを踏んでしまった経験は皆さんも一度ぐらいはあるんじゃないでしょうか?詳細は省きますが、私も実車走行時に急ブレーキをかけてパレット積みの飲料を破損しました。液漏れなどはありませんが、段ボール箱がよじれたような状態です。実際に破損と言える状態は5ケース程度でしたが、納品先ではパレット単位で受け入れを断られてしまい1パレット70ケースをすべて破損とゆう形で持ち戻りになりました。損害額としては13万円。「モノを壊したら弁償するのは社会の常識だろ」との意見もある事は、もちろん理解できます。ただし通常の業務の範囲で、かつ明らかな故意(会社に損失を与えようとワザとなど)だったり、速度超過、社内ルール違反(運転中の私用電話の禁止を無視したなど)もない状態で13万円の自己負担・・・。まったく納得出来なかったので支払いを拒否しました。同意書についてですが、当時働いていた会社でも入社時にサインしていました。が、入社の段階でこの法律について知っていたので万が一事故を起こしても支払う意思はまったくありませんでしたので形式上サインだけしていました。予想通り会社側は同意書を理由に支払いを要求してきました。が、「16条違反ですよ」と、上司に指摘しました。給料からの天引きについても言われましたが、ここも「労働基準法の17条と24条の違反ですよ」と指摘したら会社は受け入れました。会社側も法律を知ったうえでやっている行為なので運転手に指摘されてしまえばそれ以上はなにも言えません。ただし大半のトラック運転手は法律を知らずに高額な自己負担を受け入れてしまっているのが実状です。過去には自分がわざわざ教えてあげているのにも関わらず、「会社と争うのは・・・ちょっと・・・無理」と、かなりの額を給料から天引きされている人もいました。そして、自分はこの破損の一件が理由で退職しました。

まとめ

  • 辞める前、最後の月の給料が事故を理由に支払われなかった
  • 数十万円を自己負担した
  • 無事故手当が3年間支払われなかった

などなど、自己負担に関する実話ネタは山ほど聞いた事があります。自分自身としては、法律に無知だった20代前半の頃に数千円の自己負担があったり、3万円の無事故手当が支給されなかったケースは過去にありますが万単位の負担は一度もありません。真面目で過労死するまでブラック労働をしてしまう日本人の体質だと「破損した運転手が全て悪い」「車間距離を広くとっていれば防げた」「モノを壊して弁償するのは当たり前だ」といった意見をお持ちの方も多いかもしれません。しかし手取り30万円程度の給与で1つの事故でマイナス13万円・・・。色んな考え方の人がいる事もわかっています。納得した上で弁償する人を決して否定しません。雇ってくれた社長に恩義を感じていて迷惑をかけたくない、など色んな理由はあるでしょう。しかし自分は納得できなかったので支払いませんでした。そして退職に至りました。が、そういった圧倒的不利な条件で働き続ける事も将来的に無意味だと思ったので辞めて後悔はないですし、その後の人生にもまったく影響はありません。

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